大判例

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仙台高等裁判所 昭和27年(ネ)210号 判決

控訴人等代理人は「原判決を取消す。被控訴人が昭和二十二年十二月三十日控訴人小林に対し同年九月一日附買収令書を交付してなした仙台市長町西浦三百三十五番田五畝三歩に対する買収処分は無効であることを確認する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文第一項同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出採用認否は控訴代理人において「本件買収処分当時本件農地について自作農創設特別措置法第五条第四号による県知事の買収除外の指定のなかつたことは争わない」と釈明したほか、原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。

三、理  由

訴外仙台市長町地区農地委員会が請求の趣旨記載の農地は不在地主である控訴人小林の所有する小作地であるとして昭和二十二年六月十三日これについて買収計画を樹立し、同日これを公告し、被控訴人は右買収計画に基いて昭和二十二年十二月三十日控訴人小林に対し同年九月一日附買収令書を交付して買収処分をしたことは当事者間に争のないところである。

控訴人等は本件農地は控訴人佐藤の所有に属し控訴人小林はその所有者ではないから同控訴人に対してした前記買収処分は無効である旨主張し、原審証人佐藤万兵衛の証言及び同証言によつて成立を認め得る甲第一、第五、第七、第九号証に成立に争のない甲第六、第八、第十号証を綜合すれば本件農地は元控訴人佐藤の実父佐藤万兵衛の所有であつたが、控訴人佐藤は昭和十六年四月十五日附で同訴外人から贈与されてその所有権を取得したもので、前示買収処分当時における右農地の所有者は控訴人佐藤であつて控訴人小林は単に登記簿上の所有名義人に過ぎなかつたことが窺われるけれども、かような事由はこれを買収処分の取消を求める事由とするのは格別直にこれを買収処分そのものの無効を来す事由ということができないことは既に最高裁判所判例(同裁判所判例集第八巻第一号一七二頁以下参照)の趣旨とするところである。よつて控訴人等の右主張は採用することができない。

次に控訴人等は本件農地は昭和二十三年七月十五日仙台市の特別都市計画事業による土地区画整理施行地域内にあつて自作農創設特別措置法第五条第四号前段に該当し、売渡留保地にも指定され、又周辺は工場地帯住宅地帯に囲繞されていて耕地としては不適当な土地であるから右いずれの点からするも本件買収処分は無効であると主張する。そして本件農地の周辺が工場地帯住宅地帯に囲繞されていることは当事者間に争がなく、成立に争のない甲第四号証によれば、本件農地が仙台市の特別都市計画事業による土地区画整理施行地域内にあつて昭和二十三年七月十五日売渡留保地に指定されている事実を肯認し得るのであるが、自作農創設特別措置法第五条第四号によれば都市計画法第十二条第一項の規定による土地区画整理を施行する土地の境域内にある農地であつても都道府県知事の指定のない限り同法第五条第四号の規定によつて同法第三条による買収を禁ぜられているものでないことが明かであつて、本件農地が同法第五条第四号の県知事の指定を受けたものでないことは控訴人等の自認するところであるから、本件農地が仙台市の特別都市計画事業による土地区画整理施行の地域内にあるとの事実は本件買収処分を違法たらしめるものではない。又右売渡留保地の指定の点も該指定が買収処分後の措置であるのであるから遡つて本件買収処分そのものを無効たらしめるいわれなく、本件農地が工場地帯住宅地帯に囲繞されているとの事実も本件買収処分の無効を来さしめる事由とはなし難い。よつて控訴人等の右主張もその理由がない。

然らば、本件買収処分の無効確認を求める控訴人等の本訴請求を棄却した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がない。

よつて民事訴訟法第三百八十四条、第九十五条、第九十三条、第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 村木達夫 佐々木次雄 畠沢喜一)

原審判決の主文および事実

一、主  文

原告等の請求を棄却する。

訴訟費用は原告等の負担とする。

二、事  実

原告等両名訴訟代理人等は、被告が昭和二十二年十二月三十日原告小林に対し、同年九月一日附買収令書を交付してなした仙台市長町西浦三百三十五番(原告等は三百三十四番と主張するけれども、弁論の全趣旨に照らし誤であることが明かである)田五畝三歩に対する買収処分は無効なることを確認する、訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、その請求の原因として、訴外仙台市長町地区農地委員会は請求の趣旨記載の農地が不在地主である原告小林の所有する小作地であると認め、昭和二十二年六月十三日これについて買収計画を定め、同日これを公告し、被告は右買収計画に基ずき、昭和二十二年十二月三十日原告小林に対し、同年九月一日附買収令書を交付して本件農地の買収処分をした。しかしながら本件買収処分は次の点において無効である。

第一、本件農地は、昭和十六年四月十五日原告佐藤において、原告小林から贈与を受けたもので、従つてその所有権は原告佐藤に属し、原告小林は本件農地の所有者ではない。

第二、本件農地は(イ)、昭和二十三年七月十五日仙台市の特別都市計画事業による土地区画整理施行地域内にあつて自作農創設特別措置法第五条、第四号前段に該当する。(ロ)、売渡保留地に指定せられた。(ハ)、周辺は工場地帯、住宅地帯に囲繞せられ耕地として不適当である。

よつて被告に対し、本件買収処分の無効確認を求めるため本訴請求に及ぶと述べた。(立証省略)

被告訴訟代理人は主文第一項と同旨の判決を求め、請求原因事実のうち、本件買収手続の経過が原告主張の通りであること、本件農地の周辺が住宅地及び工場地になつていることはこれを認める、原告小林が本件農地を原告佐藤に贈与したこと、及び右農地が仙台市の特別都市計画事業による土地区画整理施行地区内にあることは不知、その他の事実は全部これを否認する、と答えた。(立証省略)

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